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America

アメリカ研修
ロサンゼルス周辺の飲食店を比較 試食 2泊5日?の研修
平成25年7月5日14時セントア発   9日5時羽田着 9時セントレア着

ロス空港に現地時間5日正午ごろ到着その後、レンタカーにて、IN-OUTバーガーをはじめ一日目はFASTフードを中心にカジュアルレストランヒューストン・オリーブガーデンの6件を試食、2日目、朝食IHOP・DENEYSの比較からはじまり、テキサスバーガー・チーズケーキファクトリー9件、3日目、地域の違うDENEYS・IHOPからはじまり、カフェテリア等も含め14店舗にて比較・試食をしました。合計29店にて命がけ?の試食とサービスなどの比較視察をしてきました。又、飲食店の他ウォルマート、ボンズ等チェーン店の他地元密着のスーパーマーケットを7件視察してきました。
今回の研修は、移動手段が車と言うこともありアメリカ社会を観光地でなく日常の風景を見られた事はとても大きいと感じています。先ずは高速道路の事から書き記します。ロス近辺の無料の高速道路は最大20車線にもおよび縦の道路はアラスカからメキシコまでつながり横は西海岸から東海岸までつながっています。その呼び方がユニークで解り易いものです。南北の高速道路名は5号線,15号線、25号線・・・が基本、東西は10号線,20号線,30号線・・・が基本となり北へ行きたければ高速5号線North、又東に行きたければ10号線Westと言う高速看板を探して高速道路に乗ります。高速道路に乗ってからも目まぐるしく高速道路の行き先と出口の看板を探しながら走らなくてはなりません。出口は各町の幹線道路の名前になっています。慣れない我々は看板の場所を確認した途端に出口となり3車線を命がけで変更したこともありました。高速道路では90km~105km程度が制限速度です。しかし、事実際は、その3割増しの速さで皆が走行しています。私が思い描いていたのと違うのは皆が整然とルールを守って走っていると言うことでした。個人主義のアメリカという先入観からもっと我が物顔で皆が自由奔放に車を走らせていると思っていました。これは中国の高速の利用方法をイメージしていた事もあります。しかし、その反面では、車線変更をしようとウィンカーを出してもなかなか入れてくれない。日本であればウィンカーを出せば、概ね後ろの車がスピードを緩めてくれて車線を譲ってくれます。しかし、アメリカでは、そんなことはありません。
しかし、車が一台分程度の狭い車間距離へ無理やり割り込んでも後ろの車は起る様子でもありません。多分それが当り前なのでしょう。日本で同じ事をしたらクラクションを鳴らされるか、パッシングをされ後ろの車の運転手の顔は不快感で一杯になるはずです。もう一つ高速道路に関して、書き記します。先ほども書き記したように日本の規模とは全く違う高速道路ですが、それでも車が多いため渋滞をします。それを解消するために高速道路の中に2人以上乗った車だけ走行が許される高速道路の中の高速道路があったり、高速道路上を2階建てにしてバイパスを作ったり、無料高速道路の中に渋滞の度合いによって料金が変化する有料の高速道路までありました。それでも渋滞が解消できないために高速道路の真ん中に電車まで走らせています。車が無いと身動きできないアメリカ社会、日本と同じように考えては理解でません。私が感じたのは、それ以上にアメリカと言う国は大変柔軟な思考の持ち主であると言う事です。
 ヨーロッパより移民がはじまり、アメリカの開発は、東海岸から開発されました。そして、開発は東から西へと進んでいったそうです。南北戦争がありアメリカは統一されました。因みに我々は、建国記念日の翌日に入国しました。アメリカと言う国自体が大きな国土があり、それぞれの州が国家であると言う風な捉え方であり、EUの様なものなのでしょう。東海岸側が一番保守的であり西に向かう程革新的だと聞きました。西海岸にあるロスアンジェルスは、一番競争が激しい地域だと言う事です。ヨーロッパの様に良き伝統を守ると言う風土でなく弱肉強食と言えば解り易いでしょう。しかし、ここで間違っていけないのは、その勝ち負けを決めているのは、消費者であると言う事です。また、もう一つ付け加えると日本は単一民族でありますが、アメリカは人種のるつぼと言われるくらいの多くの価値観、宗教、教育の違いの人が集まっています。ロスでは白人はもちろん黒人そしてメキシコ人またアジア系の人々が生活をしていました。別段人種差別がある様には見られませんでした。但し、多分ですが、年収の格差は相当のものがあり、ワーカーとしてはメキシコ人らしき人達が多くを占めていたように見受けられました。そんな色々な格差や人種の違いが商売を成り立たせたり倒産させたり、変化の速いのがロスであると言う事です。
数年前にKマートと言う全米第2位のスーパーがありました。しかし、ウォルマートとの戦いに敗れ倒産をしました。ウォルマートは低価格にての販売を仕掛けたようです。それに追随しKマートも低価格販売競争を激化させていったそうです。何故ウォルマートが勝ったのか?そこには低価格で販売するための仕組みがKマートより優れたのもいうまでもないのですが,鮮度管理、商品管理にウォルマートが優れていたと言う事です。何か、その店に特徴がなければ生き残れない。それがアメリカ消費社会の実態だと思います。実際にホール○○と言うスーパーは有機野菜に特化して業績を伸ばしています。有機野菜から陳列から有機のブドウで作られたワインそして、有機野菜のサラダバーのあるイートイン。小さな店でも生き残れる方法はあるようです。その反面では、日本では、ダイエーが倒産の危機に瀕しましたが倒産する事は無くイオンが救済しています。アメリカと言う国では消費者から受け入れられなければ、会社自体がなくなると言う過酷な世界なのでしょう。
倒産と言ういと飲食店ではアイホップと言う会会社があります。この会社はデニーズと同じファミリー向けのレストランです。アイホップ自体ほぼ倒産状態から現在は持ち直し全米ではデニーズより店舗数が少ないのですが売上はデニーズより上回るまでに回復をしました。実際、2日目3日目に我々は両方の店を試食・視察しました。日本の事前勉強会にてシェアリーズのマニュアルを勉強していった為とても2店の比較がとても勉強に無いりました。このクラスのレストランから 1、お迎えの係 2、オーダーを取りテーブルに運ぶ係 3、食べ終わった食器を片づける係 4、調理する人に概ね役割分担がされています。話を戻して、アイホップが倒産の危機に直面したのはメニューを増やし過ぎ本来の姿であったパンケーキが美味しいレストランから何屋か解らなくなったためだと言う事です。危機に際し、パンケーキをメインに販売するレストランと決め、メニューを絞りサービスを徹底化する事をしたことで消費者から絶大なる指示を得て業績を回復しました。2日目の朝、アイホップ、デニーズの順番で食事をしました。アイホップの出迎えはとても笑顔でこちらも楽しくなるくらいでした。店自体が明るい雰囲気と言うのもあるのかもしれません。次にオーダーを聞く係がとっても気さくに話しかけながら注文を取ってくれました。そして、間もなく食事が運ばれてきました。野菜の鮮度感、料理の温度も申し分なくとっても満足しました。次に、デニーズへ出迎え方はとってもいいなとそして注文をとる人も気さくに話しかけてきます。でも料理が中々こない。注文を取った係はこちらが見ているのに見て見ぬふり・・・。しばらくして料理が届くが野菜の鮮度はよくなく、料理の温度も冷めている。帰りに厨房を覗くと料理が運ばれずに置きっぱなしになっているではないか?3日目の朝、別のデニーズとアイホップへ。日曜日と言うこともありデニーズにも沢山の人がおしかけてくる。案内されそこから注文を取りに来ない。ドリンクも持ってこない。料理は前日と比べ温度は高かったけれどサービスとしては最低なものでした。次にアイホップへデニーズとは比べ物にならなくらいの人々がウェイティングしている。店長らしき初老の方が名前を聞いて自分でメモしている。待つこと数分。店内の雰囲気だけでなく店長をはじめとして各役割の人々がお客さんを中心に動いている。これは事前の勉強会でも学んだが、しっかりとしたマニュアルに裏付けられ、その上にマネージャーが細かな所に気をつかっている成果であると気がつかされました。
レストランだけでなくファストフード業界も相当の熾烈な争いでした。マックは全米に1400店舗ある。そして、カルフォルニアを中心に300店舗展開をしているインアウトバーガーがある。市場原理から行くと資本の大きな方が勝つのが通常でしょう。しかし、この目で見たのはインアウトの方が数段この地域では強く、近くのマックが撤退をしている事例もありました。何故か?インアウトは1948年の創業であったと思いますがその時から、各店で冷凍をしていない肉をパテに使い、店舗でレタスをちぎりトマトをスライスし玉ねぎもカットそして、お客さんへ提供している。明らかにハンバーガーは肉の味がして、レタス本来の香りがある。そしてポテトも店舗でカットしている為歯触りがあり本来のポテトの甘さを感じる。しかし、マックはそうではない。効率よく同じ味を提供しようと考えるのなら冷凍をしたりレタスなどの食材をセントラルキッチンで切ったりした方が良いと考えるのがふつうであると思う。しかし、そうしていないインアウトの方がこの地域では勝ち続けている。アメリカではハンバーガーを食べるのがあたり前であると言う国柄であると言う事を先ず認識しておいて欲しい。インアウトの方がマックよりも値段は1割以上高い。しかし、明らかにインアウトの方の顧客が多い。インアウトがほぼ満席なのに対しマックそしてカールスジュニア、ジャックインボックス、バーガーキングは閑古鳥が鳴いているのをこの目で沢山見てきました。日本ではハンバーガーはマクドナルドが独り勝ちをしていますが、現在収益が上がらなくて困っています。多分、アメリカと同じ現象が起き始めているからだと思います。消費者の舌が肥えてきたのだと。消費者の価値観が値段では無くその物に価値があるかどうかを見極める力が付いてきたのだと。そう思うとアメリカは日本より随分進んでいるのではないかと思います。
もう一つの学びとして、ホームデポという野球場の2,3個分もの広さがある日本で言うホームセンターを訪問しました。販売している物は日本のホームセンターとはケタ違いで、家のドアから屋根材やサッシや窓等家を立てるための材料や工具が何でも揃っています。人件費が高いため所得の低い人は自分で家を建てると言うのが普通であると言う背景はあります。しかし、日本でいう工務店も一般の消費者もホームデポなどの小売店から商品を買うと言うのです。その昔は卸と言う機能もあったそうです。また、メーカーという大きな力もあったそうです。しかし、最終消費者に近い小売が顧客のニーズを捉え巨大化した結果、販売は小売が主権を握っていると言うのです。日本で言うならばカーマが業者用の建材も我々が買う大工道具も全てカーマがコントロールをしていると言う事です。メーカーが商品を消費者に売り込むと言うより小売チェーン店がメーカーをコントロールしていると言っても過言でないようです。
この研修から多くの気づきがありました。
先ずは、アメリカと言う国はとても表向きは暮らしやすそうと私自身感じました。どんな人種もウエルカム。まぁ言い換えれば隣の人の事なんか関係ないと言うことでしょうか?
弱肉強食であるが面積が広い、資本が大きい、会社の知名度が高いそんなことで物が売れているのではなく、どうやったお客さんの心を捉えそれを永続的に続けられる仕組みそして教育があるかがその会社の発展につながると感じています。特に飲食店からこの事は多く学びました。他社との違いをどういう風に出すのかそしてそれを支える仕組みとそれを動かすマネージャークラスの人材育成をした会社が勝ち残ってゆくのだと。インアウトとマックの差に現れているのだと。
今まで私自身アメリカはお金の国と考えていました。お金が中心で経済が動き、ある意味で狡猾な人類だと思っていました。しかし、現地に行ってみて感じるのはアメリカ人が物事を深く掘り込んでいるからこそだと思うようになりました。それは、金融工学なる考え方を編み出したのもアメリカ人?アメリカ社会、アイパッドも然り。発想の仕方が日本人よりレベルが高いと考える方が自然であると。日本の答えのある教育では無く、幾つもの答えがウエルカムな社会がアメリカである。それだからこそ日本人にはない発想があるのだと思えてなりません。
最後に、我が社に関わる事項では、先ず、今度のTTP等で今の青果業界の仕組みがなくなるかもしれないと言う事。メーカー主導(農協・経済連)から小売(イオンなど)への主導権の移動があり市場自体がなくなると考えた方が自然では、無いか?と言う事です。それは20年後かもしれないが日本がアメリカの同盟国としてこのまま生きてゆくのであれば当然の流れの様な気がします。そんな中で我社が100年企業として生き抜くためには特化する物を磨かねばならず、社員一人一人の発想力が豊かになる事がとても重要であると考えます。今、具体的に何ができるか?私自身も解りませんが、産地との取り組みの強化は不可欠であり、仲卸業と言うよりも物流業であると言いきってお客さんに接し、産地とどうやってお客さんをつなぎ商品を提供してゆくかが大きな鍵になると感じています。この研修を通じ当社社員もアメリカを見る必要があると感じています。20年後の日本が今のアメリカになるのなら未来を見ると言うことにつながるからです。でも、本当に小さな違いなんです。実際にやっている事は。それを見逃さない感性を磨く事が大切であるとつくづく感じました。
今回同行新美社長には色々な事、そして物の見方を教授して頂きました事を心より感謝申し上げます。